誕生石

11月の誕生石

11月の誕生石は2つあり、トパーズ(ピンクとオレンジの宝石)とシトリン(黄色い宝石)である。 Shadow

11月生まれの方は、2つの美しい誕生石、トパーズとシトリンからお好きなものを選ぶことができます。トパーズには虹のように様々な色があります。そしてシトリンには魅力的な黄色やオレンジの色相があります。これら2つの11月の誕生石は、両方とも心を落ち着かせるエネルギーを持ち、身に着けると幸運をもたらし心が温まると言われています。ほとんどの場合、高品質のトパーズとシトリンは、同等の品質を持つ他の宝石ほど稀少とされていないため手頃な価格で入手できます。このため11月生まれの方が誕生石を選ぶ際には選択肢が広がります。どの宝石を選ぶかを決めるのが難しくなるでしょう。

誕生石「トパーズ」

    

誕生石「トパーズ」の意味 & 歴史

無色、水色、黄色、オレンジ、ピンク、バイオレット、茶色そして非常に稀少な赤など、トパーズには様々な色相があります。今日見られるブルートパーズの大半は、無色のトパーズに照射や加熱による処理を施して作られており、この色は永久なものとなります。「ミスティックトパーズ」に見られる虹の効果は、無色のトパーズを薄い人工フィルムでコーティングすることで作られます。

「トパーズ」という言葉は、「炎」という意味を持つサンスクリット語のタパスに由来すると考える人もいれば、ギリシャ語のtopazosに由来すると信じる人もいます。この11月の誕生石は、長い間多くの利点があると考えられてきました。古代ギリシャ人は、トパーズは自分達に力を与えてくれると信じていました。14世紀から17世紀の間、ヨーロッパ人はトパーズが魔法を阻止し、怒りを払いのけてくれるものと考えていました。何世紀もの間、インドの多くの人々は、心臓の上にトパーズを着用すると長寿、美しさ、そして知性が保証されると信じています。

鮮やかなピンクがかったオレンジのインペリアルトパーズは、気品と特別な価値を持っています。この名前はロシアの皇族が、ロシアのウラル山脈で採掘されたこの宝石の最高級の色のものを、皇族に独占的に使用することを主張していたことからつけられたと一般的に考えられています。この他の説明として、主にブラジルでの通説では、ブラジルの皇帝ペドロ2世がブラジルで最も生産量の高いトパーズ鉱山に最も近い町、オウロプレトに1881年に訪れた際に、赤みがかったトパーズを寄贈されたことからその名が付けられたとも言われています。
 
ブルートパーズは結婚4周年記念の宝石でありインペリアルトパーズは結婚23周年記念の宝石です(日本ではトパーズが16周年記念の宝石とされます)。

最も求められている11月の誕生石のひとつは、このピンクがかったオレンジ色のインペリアルトパーズである。写真撮影:Robert Weldon/GIA
最も求められている11月の誕生石のひとつは、このピンクがかったオレンジ色のインペリアルトパーズである。写真撮影:Robert Weldon/GIA

トパーズの産地

ブラジルの州であるミナスジェライスは高品質なトパーズの最も重要な産地の一つであり、ここでは2世紀以上もの間トパーズの採鉱が行われています。イエローからオレンジ、レッド、ピンク、バイオレットそしてオレンジまたはパープルが混ざったレッドなどの色のトパーズがここで産出されています。近隣の街オウロプレトは、まさにそうした地です。ユネスコの世界遺産であるこの街では、壮大な植民地時代の教会が街の地平線に彩りを与え、趣のある石畳の通りが街を交差しています。
 
パキスタン北西部はピンクトパーズの産出で知られています。小さな街カトラン近隣にあるグンダオ丘では、1972年から採鉱が続いています。カトランで産出されたピンクトパーズの色合いで最も珍重されているのは、紫がかった色合いのもので、一部の宝石取引ではシクラメンピンクと呼ばれています。しかし、グンダオ丘でも上質のピンクトパーズが見つかることはごく稀です。
 

パキスタン、カタランの丘陵の風景。提供:Eduard J. Gübelin博士のコレクションより
パキスタン、カタランの丘陵の風景。提供:Eduard J. Gübelin博士のコレクションより


現在、この11月の誕生石の他の主要な原産地として、ナミビア、ナイジェリア、マダガスカル、メキシコ、ミャンマー、スリランカ、米国そして由緒あるロシアの産地があります。

誕生石「トパーズ」のお手入れ & クリーニング

トパーズは、硬度を示すモース スケールでは8ですが、靭性はあまり優れていません。このため、欠けたりひびが入るのを防ぐために十分な注意を払う必要があります。この11月の誕生石のクリーニングには、スチームクリーナーや超音波洗浄器を使用しないでください。 トパーズのクリーニングには、温かい石鹸水が最適です。高温や急激な温度変化によりトパーズの内部に破損が発生する恐れがあります。トパーズの色は、一般的に光に対して安定していますが、熱や日光に長時間曝されるとイエローからブラウンのものは色が褪せてしまう恐れがあります。トパーズは一部の化学薬品によりわずかに影響を受ける場合があります。

ミスティックトパーズのコーティングは、日常的な着用には抵抗力がありますが、研磨剤や研磨用のバフなどによって除去されてしまいます。コーティング処理されたトパーズの誕生石のクリーニングに使用できるのは、低刺激の石鹸水のみです。

 

こちらは、トパーズの数ある色の一部です。左から右へ:ナイジェリア産の9.21ctの無色のトパーズ、ブラジル産の15.01ctのライトブルーのトパーズ、パキスタン産の18.41ctの紫がかったピンクのトパーズ、ブラジル産の12.54ctのオレンジレッドのトパーズ。写真: Robe
こちらは、トパーズの数ある色の一部です。左から右へ:ナイジェリア産の9.21ctの無色のトパーズ、ブラジル産の15.01ctのライトブルーのトパーズ、パキスタン産の18.41ctの紫がかったピンクのトパーズ、ブラジル産の12.54ctのオレンジレッドのトパーズ。写真撮影:Robert Weldon/GIA
トパーズの詳細 トパーズの購入者のための手引き


誕生石「シトリン」

    

誕生石「シトリン」の意味 & 歴史

11月の誕生石であるシトリンは、透明な黄色から茶色がかったオレンジのクォーツの変種で、何千年もの間宝石に使われてきています。シトリンは、古代から人気の高い宝石であり、もう一つの11月の誕生石、トパーズとよく間違えられていました。このため、人々はシトリンにはトパーズと同じ力があると思っていました。シトリンの誕生石は、怒りを鎮めて身に着けている者の気持ちを落ち着かせると信じられていました。

古代ギリシャ人は、永久凍土のように輝くロッククリスタル(水晶)の装飾品を彫刻していました。ローマ教皇は巨大な紫色のアメシストやシトリンの載ったリングを指に嵌めていたと伝えられています。ビクトリア朝時代のカラフルなスコティッシュジュエリーに使われたものが特に人気を集めました。シトリンはフランス語でレモンを意味する言葉、citronを語源とすると考えられており、結婚13周年記念(日本では結婚5周年記念とされる)に贈られる宝石です。

現在、市場に出回っているシトリンのほとんどはアメシストを加熱処理したものです。 色々なサイズのものが容易に入手できるため、シトリンの誕生石は、最も人気があり手頃な価格で購入できる黄色の宝石のひとつとなっています。
 

ファンタジーカットがこの43.49 ctのシトリンの中に炎を解き放っている。写真: Priscilla Dyer、提供: John Dyer & Co.
ファンタジーカットがこの43.49 ctのシトリンの中に炎を解き放っている。写真: Priscilla Dyer、提供: John Dyer & Co.

シトリンの産地

この11月の誕生石、シトリンの主要な産出地は、ボリビア、スペイン、マダガスカル、メキシコ、ウルグアイです。シトリンの色を生み出すために、熱処理が施されるアメシストのほとんどはブラジルで採鉱されたものです。
 
世界最大の淡水湿地の奥深くにボリビアのアナイ鉱山があります。この鉱山は天然かつ熱処理をされていないシトリンの重要な産地です。野生の花畑、明るく羽ばたく鳥、蝶の万華鏡、ホエザルやジャガーなどがこの広大な舞台の役者です。この鉱山のストーリーはその環境にふさわしいものです。1600年代にスペインのある征服者により発見され、彼がアナイ(パラグアイのアヨレオ族出身の姫)と結婚した時に花嫁の持参金として与えられた土地でした。この鉱山は、1960年代に再発見されるまで、3世紀もの間忘れ去られていました。
 

紫色のアメシストと黄色のシトリンの結晶が、ボリビアのアナイ鉱山から発見されている。写真撮影:Robert Weldon/GIA
紫色のアメシストと黄色のシトリンの結晶が、ボリビアのアナイ鉱山から発見されている。写真撮影:Robert Weldon/GIA


アナイ鉱山では、アメシストとシトリンが同じ結晶中に組み合わさった独特の石が産出されます。カットされた宝石で2つの色を呈しているものはアメトリンと呼ばれています。アナイ鉱山で産出されるシトリンは通常、オレンジイエローから茶色または緑がかったイエローとなっています。

 

アナイ鉱山の結晶のファセッティングにより、シトリン、アメシスト、アメトリンの宝石を産出する。写真:GIA & Tino Hammid
アナイ鉱山の結晶のファセッティングにより、シトリン、アメシスト、アメトリンの宝石を産出する。写真:GIA & Tino Hammid

誕生石「シトリン」のお手入れ & クリーニング

靭性に優れており、硬度を示すモース スケールが7であるシトリンは、通常、日常的な着用とケアの下では十分な耐久性があります。シトリンは温かい石鹸水で安全に洗浄することができます。この11月の誕生石は超音波洗浄器でのお手入れは通常は問題ありませんが、高熱によりひびが入ってしまうことがあるためスチームクリーニングはおすすめできません。
 

オレンジ色のシトリンの誕生石リング。提供: Arya Esha
オレンジ色のシトリンの誕生石リング。提供: Arya Esha


こちらでは2つの11月の誕生石に関する歴史、そしてこれらの誕生石がどこで発見されるかについてご説明しました。これらの誕生石をあなたのコレクションに加えることをお考えかと思われます。トパーズとシトリンは人の目を強く引きつける色やサイズが豊富なため、11月の誕生石としてお選びになるのに選択肢が広がります。ご自身や最愛の方のために11月の誕生石をお探しになるとき、GIAのトパーズ購入ガイドシトリン購入ガイドがお役に立てるよう願っております。

シトリンの詳細 シトリン購入者のための手引き


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